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Artist Notes

〈インタビュー〉世界にひとつのafter bouquet art – 私にしかつくれない作品

油絵風に描かれた美しいブーケ。『after bouquet art』は、結婚式などに使用したブーケを、きれいな状態のまま残しておける「アフターブーケ」から着想を得ている。世界でたったひとつという意味のフランス語、『Seule et unique au monde(ソル エ ユニーク オー モンド)』をブランド名に掲げた井上さん。彼女が追い求めるオリジナリティーとは。

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後悔から生まれた唯一無二の作品

−井上さんのブランド、Seule et unique au mondeといえば『after bouquet art』だと思うのですが、『after bouquet art』について教えてください。

「アフターブーケ」は本来、式でつかったお花をドライなどで長く残せるように、というものだと思うのですが、私が作っている『after bouquet art』は「アートで残す」ということをコンセプトにしています。お写真をお預かりして、ブーケを切り抜いて、油絵風の絵画に仕立てています。アプリでパッと加工するのではなく、手作業でコツコツとアートっぽく見えるように加工しています。

−思い出をアートで残せるっていいですね。ご依頼は結婚式に使用したブーケがメインでしょうか?

お写真さえあれば、結婚式のブーケでなくても大丈夫です。どなたかからいただいた花束を、というのもお受けできますし、ご依頼として多いのは結婚式当日のブーケですが、プロポーズの花束を『after bouquet art』にする方もいらっしゃいます。

−プロポーズの花束って一生に一度のはずなのにあまり残す手段がないアイテムですよね。それが残せるのは素晴らしいと思います。販売方法は2つあると伺っているのですが、どのような販売方法ですか?

まずは、これから結婚式を迎えられる方で、お写真の準備が2ヶ月後から4ヶ月後の方に向けて、優先的にお受けできるようにご予約枠を設けて承っています。ご予約でない方は、毎月1日にその月の受注数をサイトの方に出すので、そちらでご注文いただく形になっていて、すでに結婚式を終えられた方や先ほどお話したようにプロポーズの花束などで作りたい方は、こちらでご注文いただくようにしています。

ご予約はこちらから。
毎月1日のご注文はこちらから。

−『after bouquet art』を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

私が結婚式を挙げた時に、アフターブーケをどうするかという話があったのですが、式場にお願いすると結構高くて。その時は諦めてしまったんです。でも、いざ式が終わって、ブーケを持ち帰ると、思い入れのあるブーケがだんだん枯れていくのを見ると悲しくなってしまうんですよね。業者さんにお願いするにしても、もう枯れ始めちゃうときれいに加工できないので、私みたいに「あの時やっておけばよかったな」と後悔している方は結構いるんじゃないかな、と思いまして。

−確かに、枯れていく様を見るのは悲しいですね…。ご自身の経験から生まれたものだったとは。

そうですね、最初は自分のブーケをなにかしらの形で残しておきたいな、と思って作ったのがスタートです。お写真さえあれば式から何年経っていてもお作りできるので、結婚式直後ではない方にもアフターブーケをご提供できるようにと考え、お作りしています。

−『after bouquet art』、とてもすてきなアートです!こういった作品だと印刷の質もかなり印象を左右すると思うのですが、印刷会社さん選びも苦労されたのでは…?

印刷してみると思っていたより色が沈んでしまったりするので、印刷に発注する時は明るめに設定にしてから出したりしていました。実は自分のブーケは少し暗くなってしまって…。色の調整をしばらくやっていたのですが、今は本当に素晴らしい会社さんと巡り合いまして、ほとんどモニターで見ている色のまま印刷してくれるんです。『after bouquet art』は、その会社さんに発注すると決めています。

−購入したい場合、購入用のサイトがありますが、インスタでも相談できるんですか?

ご注文はサイトから受け付けていますが、ご相談はインスタのDMからも是非お待ちしています。質問などにDMでお答えした後、ご注文いただけるようでしたらサイトの方をご案内しています。

−ブーケの写真を送る、と伺いましたが、どのような写真がベストなのでしょうか?手で持っている写真でも大丈夫ですか?

手で持っているお写真で大丈夫です。大体の方が手で持っていらっしゃるお写真ですね。手で隠れてしまっている部分は、私の方で描き足しています。ただ、ブーケが切れてしまっている場合は描き足しをお受けできないので、全体が写っているもの、そして写りが小さすぎないものをいただけたらと思います。小さすぎるとお花の種類が判別できないこともあるので、できるだけ大きく写っているものだとありがたいです。

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ウエディングアイテムづくりのきっかけは自身の結婚式

−もともとファッションの専門学校に行かれていたそうですが、どのようなファッションがお好きですか?

当時はふわっとやわらかい感じの服が好きでした。今も好きなんですが、今はもっと洗練されたというか、可愛すぎない大人な感じやベーシックだけどひとクセあるようなものが好きですね。

−専門学校で学んだことが今の作品づくりに活かされていたりしますか?

ファッションなので、色の勉強もしていて、色に関しては今でも学んだことが役に立っているかなと思います。色の組み合わせもご依頼いただいた際にご要望があればアドバイスしたりもしますね。

−インスタを拝見して色のセンスがおしゃれだな〜と思っていました!配色の相談にも乗ってもらえるんですね。

過去にインスタにあげたものから「この背景色がいい」というように言っていただくこともあります。サンプル作成時に背景色を何パターンかご提案してひとつに絞ることもできます。

−背景色を決める時は、ブーケの色味に合わせることが多いのでしょうか?

ブーケの色味に合わせることもありますし、飾るものなのでお部屋の雰囲気やインテリアに合わせて背景色を選んだりもします。

−なるほど!飾るということを考えると、部屋の雰囲気も重要ですね。

そうですね。お部屋の雰囲気を気にされる方は多いです。インテリアとの相性とか。なのでベージュや白系が人気な気がします。

−ファッションを学ばれて、ウエディングアイテムを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

自分の結婚式でアイテムを作ったのがきっかけです。プロフィールブックから、メニュー、席札、紙もの全般、作れるものは全部作りました。席札に関しては布をミシンで縫ってコースターとして使えるようにしました。

−布を…。ちなみになのですが、何名くらいご招待されたんですか…?

60名くらいでした。席札が一番大変でしたね。終わるのかな?って。作り方を聞かれることもあるのですが、正直あまりおすすめはしないです。本当に大変なので…(笑)

−60…!それはもう聞いただけで大変なのが伝わってきます…!漠然とした質問で恐縮なのですが、ご自身の結婚式のアイテムを作られている時は楽しかったですか?

楽しさもありつつ、しんどさもありました。というのも、結婚式を挙げたのがコロナ禍で。私が挙げたタイミングはちょうど感染者数が少ない時期だったので大丈夫でしたが、無事に挙げられるのかな?という不安も大きかったですね。

−コロナ禍だとなおのこと大変だったと思います。ご自身の結婚式のアイテムを作るのと、ご依頼でアイテムを作るのでは感覚も違ってくると思うのですが、ご依頼を受ける時に意識している点などありますか?

たとえば、フルオーダーをいただいた場合には、どこに置くか、どんなものと一緒に置くかといった、その場の雰囲気や環境を伺います。テーブルに置くメニュー表でしたら、装花はどういったものになるのかやお皿の大きさなどを詳しく伺って、周りの雰囲気から合うものをお作りしたいなと思っています。私のブランドの特色を活かしつつ、より良くなるようにデザインを仕上げていきたいと思っています。

−要望は口頭というか、文章でイメージを説明してもらうのでしょうか。私自身結婚式に疎くて、結婚式作りの段取りがいまいちわかっていなくて申し訳ないのですが…。

文章でご説明いただいたり、お写真や式場で提示される資料をお送りいただけることもあります。ご自身で手作りされているものがあれば、その写真を送っていただいたりとか。基本的にインスタのDMやメールなどで行っていますが、文章でご説明いただくことが多いですね。

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重視するのは私だけのオリジナリティー

−インスタを拝見しているとメニュー表などの投稿にフルオーダーについて書かれていますが、フルオーダーって受けてもらえるんですか?

お受けしています!むしろお待ちしております!作るものとしては、私のブランドの雰囲気は大事にしていきたいので、サイトやインスタをご覧いただいて、ブランドのイメージが気に入ってもらえたらぜひお受けしたいです。

−フルオーダーは注文の仕方に悩む方もいると思うのですが、既存の商品などを例に相談しても大丈夫でしょうか。

イメージとして提示されることはあるのですが、もちろんほかの方のものをそのまま作って欲しいというご依頼はお受けできません。ご要望を伺って、そこに私らしさをプラスしながらいいデザインを提案できたらと思っています。フルオーダーに関しては、インスタのDMやサイトのお問い合わせからお受けしています。

−手描き感のあるものもインスタにあげられていますが、フルオーダーで手描きのオーダーをしてもいいですか?

手描きOKです!今の時代、おしゃれなフォントだったり画像だったりは少し探せばいくらでも見つけられて、それを組み合わせるとそれなりにおしゃれなものって簡単にできちゃうんですよね。でも、これからはもっと自分にしかつくれないものを大事にしていきたいという想いがありまして。

−わかります。便利な時代だからこそ、逆行にも見える手描きの良さが際立ちますよね。

手描きに関してはもっと力を入れていきたいと思って、今モダンカリグラフィーの講座を受けて勉強しているところなんです。モダンカリグラフィーは、書き方の決まりみたいなものはあるのですが、書く人によって違いが出るんです。

−レタリングとはまた違う個性が出る書き方なんですね。今検索しながらお話を伺っているのですが、モダンカリグラフィー、本当に人によって違いが出ますね。おもしろい。

そうなんです。既存のフォントでもかわいいものはあるのですが、それを使っていては周りとの差が出ないなと感じていて。自分だけのオリジナル感を出していきたいと思っています。文字のほかにも、水彩絵の具で実際に絵柄を描いて、それをスキャンしてデザインに組み込んだり、そういった一手間で私だけの作品に仕上げていきます。

−ちなみに、フルオーダーはどれくらい期間を見れば安心ですか?インスタに載っている月の形をしたメニュー表とか、紙をカットしているように見えるのですが…。

3ヶ月あれば大体どのようなご要望でもお作りできると思います。月の形のメニュー表は、水彩で描いた模様をスキャンして、印刷会社さんで印刷してもらったものを家にあるカット機でカットしています。さすがに手切りはきついので…(笑)

−機械で切っているんですね!よかった!(笑) 手切りだったらめちゃくちゃ大変だな、と思ったのですが、機械であればどんな形でも安心して注文できます。これからこんなアイテムに挑戦したい!など目標はありますか?

やっぱりフルオーダーで手描きのものに力を入れていきたいですね。席札代筆とか。子供の命名書も出品しているのですが、今の作り方では出産直後にご注文いただいても、お七夜の命名式に間に合わなくて。カリグラフィーを習得してお七夜の命名式に間に合う命名書も作っていきたいなと思っています。

−結婚式のあともSeule et unique au mondeを頼りにできるってすてきですね。

ウエディング後のフォロワーさんも多いので、ライフスタイルに合わせて愛用できるようなアイテムも増やしていきたいです。ベビー用品系はその第一歩みたいなところですよね。

−お部屋の装飾がひとつのブランドで揃えられていると、インテリアとしても統一感が出ますよね。いろいろと積極的に挑戦されている印象がありますが、ほかに何か挑戦したいことはありますか?

カリグラフィーもそうですが、手描きという点ではイラストももっと勉強したいと思っています。『after bouquet art』は、本来のアフターブーケの価格が高いことから、気軽に注文できる価格設定にするためデジタルで作成していますが、ゆくゆくは手描きのものも作れたらと考えています。大きな夢で言えば、私のカリグラフィーやイラストを使ってテキスタイルデザインやパッケージデザインをしたい!という方からお声がけいただけたら嬉しいです。

−今回のインタビューで、井上さんが「オリジナリティー」という部分に注目しているのがとても伝わってきました。

そうですね。フルオーダーに関しても、既存のものを頼りにというよりは、たとえばプロフィールブックなら「こういうページを入れたいけど作っている人がいなくて」みたいな、たったひとつしかないものを作っていけたらと思います。私一人でやっているので、ご要望には柔軟に対応できるので、「これはできるかな?」と思うものでも、「まずはSeule et unique au mondeに相談してみよう」と思ってもらえるようになれば嬉しいですね。気軽にご相談ください。


名前:井上祐茉
ブランド名:Seule et unique au monde
出身地:岐阜県
活動地:愛知県
作品ジャンル:ウェディングにまつわるペーパーアイテムデザイン、イラスト
SNS:Instagram
公式サイト:https://seuam.official.ec/
使用画材:水彩絵の具、アクリル絵の具、iPad(プロクリエイト)

経歴
岐阜県出身
1995年生まれ 現在は愛知県在住。
子供の頃からお絵描きと服が好きで、その頃の夢はファッションデザイナー。
ファッション専門学校卒。卒業後はアパレル販売員を経験。
自身の結婚式をきっかけに可愛いものや物作りへの気持ちが再燃し、「Seule et unique au monde」を開始。
主にウエディングにまつわるイラストやペーパーアイテムデザインなどを手がけています。
2022年12月に愛知県名古屋市で行われた「Wedding creators market」へ参加。

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