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Artist Notes

〈インタビュー〉驚きの転身で勇気を与え続ける画家・宮本拓也さん – 創作活動に打ち込める喜びと感謝

力に満ち溢れた絵画の数々。内に秘めた想いを画材に託して、見る人の心を揺さぶる作品を作り続ける作家、宮本拓也さん。保育士だった過去を持つ彼が、アートに情熱を注ぐようになったきっかけはなにか。真摯にアートやアートファンと向き合う彼の歩み。

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自粛期間を支えてくれたアートたちが創作活動のきっかけに

−2020年から絵を描き始めたと伺っています。アートの世界に飛び込もうと思った理由など教えてください。

コロナの流行で自粛が繰り返されるようになり人との関わりが少なくなっていく中で、自分に何ができるかと考えた時に気晴らしで個展を観に行くことが増えました。
作品を観て笑顔・喜び・感動・共感を得ることができて、作品たちがコロナ禍で疲れきった心を元気にさせてくれたことを今でも鮮明に覚えています。
「僕は作品(アート)に助けられた。」という感覚を強く抱き、その瞬間から自分も絵を描きたいという衝動に掻き立てられました。

−コロナの自粛期間中に心の支えになったのがアートだったんですね。

はい。なので自分もアートで表現し、少しでもいいから周りの人を元気にさせたい、勇気づけたいという思いからアートの世界に飛び込みました。

−2023年に保育士を引退して作家に完全転身されたそうですが、作家一本でやる決意を固めた時の心境を教えてください。

保育士11年勤めれば、変な話、収入も安定してくるし生活にも支障はない状態が保てます。でも、果たしてそれが自分にとってプラスなのか?と考えるようになりました。
いずれ人は死にます。死ぬんだったら自分がやりたいことをやればいい。そう考えるようになりました。

−自分が本当にやりたいことを追求することにしたんですね。

それともう一つは、保育士から作家、ゼロイチからのスタートという異例な転身をすれば自分の周りにいい刺激を与えるのではないか?と考えました。
自分は今年で32歳になります。丁度、人生の節目の時期であり、この仕事向いているのか?という悩みが生じる年齢でもあります。
自分が大きなことをして、新たなことに挑戦したいと悩んでいる人が前に進むための架け橋になればいい。
子どもたちや出会った人に「夢」「希望」「決意」「決断」「挑戦」を与えられる存在になりたい。
そのためには、「夢は叶う」と自信を持って伝えなければならないと思い、作家一本でやる決意をしました。

これまでの自分を作ってきた経歴をリセットしての新たな挑戦は、そこに飛び込むための大きな勇気が必要だったに違いない。しかし彼は、同じように挑もうとしている人たちに希望を与えるため、自身を奮い立たせた。

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作品ひとつひとつの個性を認めて多彩な捉え方を楽しむ

−抽象的なテクスチャーアートから、人物や花をモチーフにした作品まで、作品によって多彩な描き分けをしていらっしゃいますが、テーマはどのように決めていますか?

個展の際はテーマとコンセプトを決めていますが、普段はテーマは決めておらず自分が感じたこと描きたいものを描いてます。
自分にとって一つ一つの作品を描く時は「挑戦」なんです。納得できない作品もありますがそれは自分の判断なだけであって、その作品を観てくれた人は気に入ってくれるかもしれません。
アートの素晴らしさは正解がないところだと感じています。
自分自身が最高だと思う作品を好みな方はもちろん、好みじゃない方もいて、その反対に自分が納得できていない作品が同じく好みじゃない方もいれば、好みの方もいる。一人一人アートの捉え方や考え方が違うからこそ楽しいと思っています。
「自分は⚪︎⚪︎で⚪︎⚪︎に見えたんです」などの感想には、僕の作品を観て自分なりに作品を考えて捉えてくれて言語化してくれてるな!と嬉しく感じることがあります。

−多様な捉え方ができることがアートの魅力だと私も感じています。自分にとって好みではないと思っていた作品も、誰かが気に入ってくれるかもしれないと思うと、可愛らしく見えてきそうな気もします。

そうですね、なので納得できないものができたらまたその上から再び絵の具で塗りつぶし新たな作品を作ることはしません。
キャンバスに色がつけば命が宿るからです。塗りつぶすことは命を粗末にすること同様。
僕は一つの作品として一人の我が子として、大事に保管するようにしてます。

−我が子として。すてきな考え方だと思います。絵を描く時に一番こだわっているのはどのような点ですか?

バランスと色合いをこだわっています。
自分はアクリル絵の具を使用しているので、いかに油絵のような綺麗な色と立体感を出すかを工夫しながら描いてます。

絵画の制作を通して、作品の向こう側にいるまだ見ぬ相手を想像しながら描き起こしている姿が目に浮かぶ。作品を見た人がどう感じてくれるか、発表の先にある反応を楽しみにしているようにも感じる。

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ファンへの想い、キーワードは『感謝』

−自分の絵が誰かの手に渡る時の気持ちを教えてください。

我が子が嫁入りするくらい嬉しいですし幸せです!非常に感慨深いです。
僕はきちんと作品を手渡しで渡すようにしてます。
それは、感謝の気持ちを込めての意味もありますし、これからも繋がりを大事にしたいという気持ちも込めています。

−手渡しは想いがさらに伝わりそうです。作家活動ではなにを伝えたいですか?

絵を描ける喜びに感謝すること。絵が描ける環境、個展ができる場所があることの幸せに感謝すること。表現できる喜びに感謝すること。絵を通じてたくさんの出会いやご縁があり自分自身を評価するのではなく絵が人と人を繋げたことに感謝すること。
そんなたくさんの『感謝』を伝えていきたいです。

−大変な時期を支えてもらったアートで感謝を伝えていく、強い想いと覚悟を感じました。今後、創作活動を通してどのようなことに挑戦していきたいですか?

まずは自分が通った保育園、小学校、中学校を訪問して絵を通じて夢を与えていきたいです。その中で、いろんな道しるべがあることを伝えたいと考えています。
夢は諦めない限り必ず叶う、やりたいこと挑戦したいことがあれば自信を持ってやってほしいということを伝えたいです。
我々、大人が子どもたちの夢が叶えられる環境や場所を作り、夢があるこどもたちに強くたくましく生きてほしいと願っています。

−子供たちに関わってきた宮本さんだからこそ伝えられるものがあると思います。最後に、応援してくれるアートファンへのメッセージをお願いします。

アートファンがいてくださるから、作家という職種があり、表現することができる。これは決して当たり前ではなく、感謝しなければならないことだと思っています。
世界では、戦争や紛争でたくさんの方が亡くなり夢がある子どもたちも亡くなっています。
表現したくても紙やペンがない。ましてや、指で砂の上に表現したとしても、雨で濡れて消えたり知らずにその上を歩かれて消えてしまったりするんです。
その時に感じたことは二度と表現できません。
だから僕たちが、表現したいけど表現できない方の分まで、表現し続けること、描き続けることが大切です。
『宮本拓也』という作品を貫き通していきます。
これからも、応援してくれる方に感謝の気持ちを忘れず、楽しく表現していきたいです。


Profile

名前:宮本拓也

出身地:広島県

活動地:広島県

作品ジャンル:抽象画・肖像画

SNS :Instagram

使用画材:アクリル・ペン・クレパス・キャンバス

経歴

2012年
広島文化学園短期大学保育科卒業

2012年
某保育園に勤務

2020年
絵画に影響され独学で絵を描き始める
10月に職場で画伯展を開催
職員、保護者の方に高い評価を受ける

2023年
11年勤めた職場を退職し、作家に転身
3月〜4月広島サンモールL galleryにて展示
4月POP-UPイベント個展開催
9月個展開催予定

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