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Artist Notes

人物×生き物の構成が新しいイラスト – アーティストYONAが描く美麗な魅力

どこか儚げで、しかし芯の強さも感じる。そんな、不思議な魅力を持った女性と一緒に構成されているのは、動物や昆虫などのさまざまな生物たち。干渉し合っているようで見つめる方向は違っていて、見れば見るほどその空気感に圧倒される。彼女の作品でしか味わえない感覚はどのようにして生み出されているのか。

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好きなことに注力する勇気が人生を変えた

武蔵野美術大学を卒業後、東京藝術大学の大学院に進学し、修了したYONAさん。アート界において華々しい学歴を持つ彼女だが、学生時代からイラストレーション作品を発表し続けてきたわけではなく、そこにはさまざまな葛藤があった。絵を描くことが好きという想いを持ちながらも、完成の形に持っていけず人に見せる勇気もなかったため、コンプレックスを抱いていたそう。しかし、ある出会いが彼女の運命を変えた。

「あるアーティストにハマったことがきっかけでファンアートを描き始めました。ファンの皆さんは絵を描く人が多く、評価されるのがものすごく怖かったけど、もうどう評価されてもいいやと思い切ってTwitterに掲載してみたら、思いの外、嬉しいコメントや反応をもらえて、自信につながり、どんどん描く機会が増えました。
それと同時に30歳を超えて大器晩成と言われて、かまけてきた人生に焦りを感じ始めている時期でもありました。」

このまま創作から遠のいて行くのでは一生後悔すると感じた YONAさんは、ファンアートの枠を取り払い、自分自身が描きたいと思う作品作りに取り掛かる決意をした。

「ブランクがありすぎて描きたいものを考えるのにすごく時間がかかってしまいましたが、今は完成まで持っていけた絵がたくさんあって心が満たされています。
もっともっと描きたいという気持ちが膨れ上がっています。」

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コンプレックスが好転して生み出された自分だけの表現

女性と動物たちを描いた「崩壊シリーズ」は、はじめて手がけた「またたきの崩壊」より続いている。限られた色調の中で儚さや強さが繊細に表現されたこのシリーズで、YONAさんが伝えたいメッセージとはなにか。

「地球環境問題の変化を受け、愛すべき動物達が生命の危機に晒されていることを直視できない様子を、「絶滅危惧種と人間」「毒とミューズ」といった対立するモチーフを用いて表現しました。
人間が自ら作り出した問題の解決を試み、今後は循環型社会を活かしつつ、動物達が優位に立ち、より自然と調和できる世界になることを願っています。
当事者意識がない方も、私の絵を見た後の行動に少しでも変化が起きたら嬉しく思います。」

そして、この不思議な魅力のある構図も、コンプレックスを持っていたからこそとも言える謙虚さから生み出されていた。

「かっこいいことを言いたいところですが、今私にできて最大限によく見せることを考えた末、この構図になりました。
色彩に関しても、色味が少ない理由は色彩感覚に自信がなかったからなんです。一番最初に描いた「またたきの崩壊」も、見ていただいた方にはオレンジが映えてすごくいいとおっしゃっていただけたりして、コンプレックスが良い方向に作用してよかったと思いました。」

神秘的なミューズをイメージして描いているという女性像。展示などでYONAさん本人と会ったことのある人からは、モチーフはYONAさん本人なのかと聞かれることも多いようだが、特定のモデルはおらず作品のイメージに近い資料を組み合わせて生み出しているそうだ。

これまで苦手意識を持ち、コンプレックスを抱いていた創作の世界に「今の自分にできること」を大切にしながら果敢に挑戦した結果、「自分にしか出せない魅力」に昇華した。イラストから感じる力強さは、彼女が足掻く中で手に入れた彼女自身の強さなのかもしれない。

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新しいフィールドへ、歩みを止めず進むYONAの今後の展開

2021年よりYONA名義でイラストレーションを創作しはじめた彼女は、2022年に雑誌「illustration」で開催された第222回「The Choice」に入選した。今まで溜めてきたものを一気に開花させるように、目覚ましい活躍を見せている。活動開始からわずか1年での受賞は、彼女の自信にもつながった。

さらにフィールドを広げ、絵師とそのファンたちに重点を置いたNFTプラットフォーム「ANIFTY」にも参加。公認クリエイターとして籍を置いている。

「元々NFTに興味があって勉強をしたりしていたのですが、なかなか一歩踏み出せないでいた時にANIFTYの方からDMをいただき、公認クリエイターとして出品させていただくこととなりました。
テイスト的には日本のアニメや漫画のイラストが多いサイトなのですが、私が描くようなリアルテイストもどんどん増えていくそうです。確かに色々なところに展示していくと、海外の方の反応が意外と多かったため、ANIFTYではどんな方が反応してくれるかとても楽しみです。」

デジタルアートの画期的な取引として話題を呼んだNFTにも参入する積極性で活動を広げている彼女は、海外に向けた発信や進出も視野に入れている。アート市場は現在のところ、日本よりも世界に目を向けた方が盛んな面も多く、海を越えた取引を考慮する作家も少なくない。彼女もその一人で、来年はオーストラリアでの展示も控えており、そこで自分の作品と出会う海外の方の反応を楽しみにしているようだ。

「崩壊シリーズは今描いている10作品目で一度区切りをつけて、次はまた違うシリーズを描きたいと思っています。描いていない時は全然アイディアが浮かばなかったのに、描いていくうちに「次はこれを描きたいな」というアイディアが浮かんできて不思議です。手が遅いのでもっとスピードアップして描いていきたいです。」

「大器晩成」という言葉を回避するかのように創作活動を始めたYONAさんは、自分の力で見事にその懸念を払拭した。誰もが持つコンプレックスを好転させた先に、まだ見ぬ世界が広がっている。


Profile

名前:YONA

出身地:静岡県

活動地:東京都

SNS:Instagram , Twitter , lit.link (お問い合わせはlit.link内の「お問い合わせ」から)

作品販売サイト:BASE

使用画材

アナログの場合:鉛筆、アクリル絵の具

デジタルの場合:iPad(Procreate/CLIP STUDIO PAINT PRO)

デザイナー兼イラストレーター。
自社メーカー事業として、グラフィック、イラスト、パッケージデザインを担当。
個人としてイラストの依頼やグラフィックデザインの仕事も手がける。
2021年からYONA(ヨナ)名義で絵画制作活動を開始。
ANIFTY公認クリエイター。

経歴

1988
静岡県出身

2012
3月 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業

2014
3月 東京藝術大学大学院映像研究科美術領域修了

2020
H ZETTRIO配信限定シングル「負けるなチャンプ」ジャケットデザイン

2021
YONAとして本格的に創作活動を開始

2022
4月 第222回「The choice」入選
6,7月「Family Meeting」  古民家カフェ静楽舎 蔵ギャラリー
11月 デザインフェスタVol.56 参加
11月 「Girls2022」文房堂3Fギャラリーカフェ
H ZETTRIO配信限定シングル「Beat Swing」ジャケットデザイン

2023
5月 「私の世界展」ミレージャギャラリー
5月 デザインフェスタVol.57 参加
6月 「animal2023」artbook事務局ギャラリー

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